専門図書館としての特性が大きく、また利用者が特定多数(主に学生)に限られることから、大学図書館の運営は比較的落ち着いたものと考えていました。しかし、僕が設計にかかわった明治学院大学図書館の松岡氏、宮城氏と話をする機会があり、大学図書館の印象が一気に変わりました。
明治学院大学図書館は1990年に大枠の設計を終えているので、ほぼ20年前の仕様なのです。そのため、今後の課題にどう対処するか、相談を受けて、現状の問題を話し合いました。
松岡氏は20年前、大学本館の設計時に大学の諸部門を隅々までまわり、それぞれの関係性を新たに構築した方であり、また宮城氏は学長室から広報、図書館と多くの企画にかかわってこられ、楽しく交流させていただいた方です。二人とも、もともと図書館の専門職ではありません。しかし、そのため、発想が新しいのです。
彼らは図書館に人を集めたいと言います。才津原さんと同じ発想です。
当日も「写真集・冷蔵庫」で有名な写真家の潮田登久子氏が書物を「もの」として撮影していました。また、東京都写真美術館に展示資料を提供したことがきっかけで、自らもそうした展示イベントを開催する企画を持っています。
僕たちが高層の建築の中の6層分を占有する図書館を設計するときに、利用者の活動の大きな手がかり、シンボルになるようにデザインしたエントランスホールの吹き抜けに、潮田氏の作品が展示されています。
また、明治学院卒業生の著書の紹介など、企画が目に見える形で展開されています。活動する職員のセンスや姿さえそこには見えてきます。
20年前の設計思想でつくられた図書館です。「書斎」をつくろうという色あせない本質的な部分もありますが、閉じ込めるだけの「グループ閲覧室」、ノートPCなどなかった時代の個人専用の「AVコーナー」、 利用者を区切る「大きくりっぱなカウンター」など、変わるべきものも数々あります。
大学図書館も変わりだしたようです。
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