マリオ・ジャコメッリは日本ではあまり知られていませんが、イタリア中部の小さな街に生まれ、多くをその地で活動した20世紀後半を代表する写真家と言われています。
先日まで東京都写真美術館で展覧会が行われていました。
これは修道院の司祭たちが戯れる日常のひとときをとらえた「若き司祭たち」シリーズ(1961-1963)という代表作品の中の一枚です。展覧会のポスターにもなっている写真でポスター作成のために背景を白く抜いて編集したのではないかと思ってしまいました。
が、そうではありません。雪の上で戯れる司祭たちの姿を的確にとらえたものです。
白い部分は写真の撮影技術でより白く浮かばせているのかもしれません。しかし、対象物に迫るその姿勢は土門拳と同じようでもあり、またまったく異なるようでもあり、しかしながら、同じ姿勢を持っているのではないかと感じました。社会を見る目が備わっているのですね。こうした、誰も持っていない目、視線はとても大切なものです。皆が写真家のようにカメラを構え、社会に向けて、こだわりと驚きをもってファインダーを向ければ、社会は必ずや変わってゆくはずです。
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