停滞した企業のあり方に企業家精神が必要であることはかなり前から言われています。それは80年代、日本企業躍進に影響を受けた巨大なアメリカ企業に示されたものでしたが、企業家精神というその言葉はどこにも、いつの時代にも、そしてどのような組織にも必要のように思います。
この企業内における企業家精神を賞賛したこの本は内井昭蔵事務所に所属しながら、独自にコンペや独立意識を持たせてくれた貴重な啓蒙書です。
いまやその意識は企業よりも、ソーシャルベンチャーたる市民活動に不可欠なものであり、同時に豊かな社会の基盤を担う行政に不可欠なものといえます。
行政と企業家精神、そこにこそ、未だ複層的なピラミッド型組織を形成する行政組織のこれからのあり方があるのではないかと思えます。
企業家精神とは戦略的思考が必要です。つねに目の前に意味を見出し、方向を見定めてゆくあり方です。
ここには、組織の階層を少なくし、遊撃的で独立した、連携を持てる組織をつくること、組織を安定させるべき制度を組織から切り離し、個人に独立したものとすること、経営資源を分割、分類するのではなく、共有化へ向かうことが示されています。
立法府のあり方があいまいで、外部にシンクタンクを持たない地方行政は中央政府よりもずっと官僚化が進んでいるのではないでしょうか。戦略なき戦術を展開する地方行政にはこの企業家精神による組織改革が不可欠ではないでしょうか。
そこには行政にかかわる専門家が個人レベルにおいて、政治性を持って、戦略的に行政に参画することが必要なのであり、コミュニティシンンクタンクこそが彼らに政治性と思想性を与えるものなのではないかと考えています。
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