2008年4月7日

市民によるコミュニティバス

「多くの学校で新学期が始まった7日、東京都東村山市の学校と駅を結ぶ新しいバス路線ができた。地元の酒店の一人息子、山本宏昭さん(44)が9年前、「夢だけで作った」という小さなバス会社「銀河鉄道」の初の独自路線だ。大手会社も苦戦している路線バス事業。それでも自分で思い描いた道の上を走りたいと、自らもハンドルを握る。地域を元気にするという大きな夢も乗せて、発車オーライ。」(asahi com)



多くのまちでコミュニティバスという名のバスが運行され始めていますが、その多くは行政が運行会社に補助金を与えて運行させたり、委託したりすることによるもので大きな違いが明確にはなっていないように感じられます。また、一般の路線バスでも経営が難しいなか、コミュニティバスの企画はどのような方向へ向かうのでしょうか。



この場合のコミュニティとは「地域限定の」、「地域独自の」というような意味を持ったものかもしれません。しかし、既存の路線と競合する部分を避けたり、市役所を発着点にこだわることなどによって本当に必要な部分にバスを走らせることができない事例も多いのではないでしょうか。名前や形だけのコミュニティバスであり、目的は市民の利便性や地域の活性化などを真剣に考えたものとは別のところにあるような気がします。


本来の地域のなかを小さなバスが縫って走るというきめ細かなケースはどれだけあるのでしょうか。



金沢市では観光のための金沢駅と中心地とをつなぐループ状の路線に加えて、地域のための「ふらっとバス」なるコミュニティバスが配備されています。



それは中心地の周辺に3つの環状ルートを持つものであり、それぞれが相互につながりながら、既存の路線とも融合しているように感じられます。病院や美術館、公共施設や市場をつなぎ、さらに地域の商店街の中にまで入ってゆくようです。



また、金沢市では、これらの計画を更に一歩踏み込んだ形で車に依存しない新たな社会システムの試み:パークアンドライドシステムが実践されています。

それは、郊外の自宅から車でコミュニティバス路線までアクセスし、市中心部周辺の所業施設などの駐車場(Kパーク)に駐車し、そこから割安のバス定期によってコミュニティバスを利用できるシステムで、市中心部の交通システムと通勤システムを根本から考えようとする意欲と真摯な姿勢が見えてきます。

そこには規制のバス路線との妥協のなかから生まれるものではなく、そのような既成のシステムなどつくり変えてしまうような新たな交通システムが社会に要求されているのだと感じます。それが真に利便性を与え、経営が困難と言われるバス経営をも再生し、まちに活気をもたらすものとなるのではないでしょうか。

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