2008年9月22日

本物の市民参加とは

今、多くの地方都市では市民参加を前提とした仕組み作りを始めています。

しかし、ややもすると仕組みや制度の形式面を先行しがちです。「岡崎市協働の仕組みを考える市民会議(18年度)」の議事経過を見ていると、他地域の条例を下敷きに、既成の枠組みの中で進めていこうとする行政マンと、理念やこれまでの協働のルールをきめ細かく見ることから「地域独自の協働理念とは何か」というところへ踏み込もうとする専門家との大きな乖離が見られています。それは7回の会議による議論の後でも何も変わっていないようです。https://mobile.city.okazaki.aichi.jp/auto/www.city.okazaki.aichi.jp/yakusho/ka2605/ka2601.htm

市民協働といっても、市民と行政の間にもいつもこのような状況が現れています。行政サイドはさっさと制度を決めて、身動きならないようにしたいのかと疑わざるを得ないのです。また、制度を改善しても、制度ありきの運用ではなく、協働を促進するための本物の運用をどのように考えるかは、この基本理念を議論するプロセスから生まれてくるはずです。

でも、いつも条文ありきの議論であり、制度のための条例しか描けないようであれば、「地域独自の協働理念とは何か」などとても生み出すことはできません。自分の町の状況をしっかりと把握する想像力に欠けるのであり、それを具体化する創造力に欠けているのです。

しかし、地域独自の素晴らしい理念を形に表している町もあります。

北海道、半島の中心に位置するニセコは自然環境に恵まれた住民4600人ほどの小さな町ですが、全国に先駆けて、平成13年4月1日、自治基本条例を制定、施行しています。ニセコにとってまちづくりとは町の運営そのものであって、自治そのものです。そして、その基盤を「情報共有」と「住民参加」においています。

「世の中の動きに合わせて」程度の意識で住民参加に取り組む自治体が、情報を閉ざし、限定した状況下で意味のない、成果の見えない市民協働や市民会議を横行させてしまうのと大きな違いがあります。

ニセコ町では、基本理念は次のように表わされています。

■町の「ミニ憲法」 ~ニセコ町のまちづくりすべてにかかわる条例(自治基本条例)

この条例は、ニセコのまちづくりを進める上での町民共通ルールです。このルールは、日本国憲法や地方自治法などの法の精神に基づき、わたしたち町民がまちづくりの主役(主体)として行動するためのものです。 条例の名前にある「まちづくり」とは、道路や上下水道の整備、市街景観形成などの目に見える「ハード」の側面だけではなく、情報共有や住民参加などの仕組みづくりといった目に見えない「ソフト」の側面も含んでいます。そこから、町民が住むことそのものが誇りに思える「暮らしづくり」を発展させること、それが「まちづくり」に込められた思いです。


■2つの柱 ~「情報共有」と「住民参加」

まちづくりの大切な基盤が「情報共有」です。まちづくりにかかわる情報は、町民の共有財産です。町民の間でまちづくりに関する情報が共有されていなければ、住民参加も意味をなしません。そのため、町が積極的に自らの説明責任を常に果たしていくことが最低限必要なことです。 この条例では、「情報共有」と「住民参加」を車の両輪に同じと考え、一体のものとして、まちづくりのための重要な原則と考えます。同時に、これらにかかわる基本的な権利の保護に努めます。


■自治の実践 ~町民の主体的行動と自治の基盤

 『まちづくりは、町民一人ひとりが自ら考え、行動することによる「自治」が基本です。わたしたち町民は「情報共有」の実践により、この自治が実現できることを学びました。』(条例前文より引用) この前文では、「自治」の手ごたえを感じています。この自治をより本物の自治に発展させることが最終目的です。そのために、この条例を自治のための基本となる条例として、わたしたち自身のツール(道具)として使いながら、わたしたち自身が「市民」として主体的に考え主体的に行動します。その中では、町民のまちづくりへの参加が、自治を守り、自治を進めるものと考えています。 また、自治の発展は、町民の暮らしや経済産業の発展にも寄与すると考えます。各種統計調査においてニセコ町の人口が増加傾向にあること、起業や雇用が増えていることなどの背景には、自治の基盤が大きく影響していると考えられます。


■育てる条例 ~自治の発展

 この条例は、最低4年に1回の見直しを行います。平成17年12月にその1次見直しを終えました。 情報共有や住民参加などをとりまく考え方や社会情勢は刻々変化しています。自治のための新たな発想や枠組みも生まれています。国内外における時代の動きを常に捉えながら、その一歩先の将来を考えていくことが必要です。その意味で、町民が将来にわたり育てていく条例として、この条例を位置付けています。条例見直しのタイミングごとに、自治の方向性やさまざまな制度の点検、見直し を行うことができます。

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