2010年4月12日

龍馬伝

NHK大河「龍馬伝」の調子がいいようです。

歴史家の同僚に言わせると「点と点を自由につなぐことのできるドラマはうらやましい」とのこと、いろいろと疑問点はあるようです。しかし、国家や時代の要請で押しつけられる歴史像よりもずっと心地よい気がします。

ところでこの「龍馬伝」、僕はもっと別の視点から楽しんでいます。実は何度も何度も繰り返して見ています。飽きないのです。

それはカメラアングル。一連のカットを多くのカメラが取り囲み、連続的に、また時には不連続に、迫っていって何かを伝えようと試みられています。それは与えられたアングルというよりも複数のカメラマンがそれぞれ独自に迫り、複数の独立した目でドラマを多角的に解析しているようで、まるでピカソのキュビズムのようでめまぐるしくドラマが進行してゆきます。役者の向こうにあるはずのカメラが見えるようで見えない、ギリギリのところでカットされているかのようです。

そのHPには次のように説明されています。
「「龍馬伝」のチーフ演出を担当するのは大友啓史。・・・徹底的にリアルで濃密な人物描写―。そして奥行きや広がりを感じさせる美しい映像―。あらかじめカット割りすることなく、複数台のカメラを様々な角度から回し、自在の編集で組み上げていくという手法で、その世界観を描き出していきます。」

統制のとれた静かなドラマよりもこのような動きのあるバラバラなアニメのようなドラマチックな映像にひかれてしまいます。それは個や部分が作る豊かな創造行為、「集団による創造性の開発」につながるのではないかと感じられます。

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