2009年9月4日

1勝9敗/ユニクロ

柳井正氏は、ユニクロは失敗ばかり重ねてきたと書いています。

成功ばかりだと、保守的になり、形式化をもたらすのであり、それらは市場の変化へ対応が不可欠な小売業には致命的なものであるようです。
詳細に描かれている起業からのプロセスを読んでいると、試行錯誤の多さとそれから学び、実行することへの素早さが大切であるのだと思わずにいられません。
そこに「1勝9敗」の意味があるようです。
また、組織や人事評価についても語られていて、とても興味深い内容も明かされています。現在の社会にとても有用です。


ひとつは組織のあり方。仕事を組織に合わせるのではなく、仕事を行うための組織をその仕事に合わせることが大切さであり、その構成、つまり人員の配置とその目標を絶え間なく、仕事に合わせて変え続けることであるようです。組織は流動化し、外部からは組織の形さえ見えないこともあるそうです。

また、組織は部長とリーダーと社員の3部構成で成り立っています。リーダーとスタッフとはチームを組み、プロジェクトごとに役割を変えて業務を行っているので、基本的には部長とチームによる大変フラットな運営となっています。

人事権とは経営者やリーダーの職務の一つですが、状況に応じて柔軟に、また確実に対応できている会社は少ないのではないでしょうか。

もうひとつは、集団主義ではなく、実力主義となるきびしい評価。人が働く大きなモチベーションとして正当な評価の必要性があげられています。

その評価は意外にも自己申告によるもので、4半期ごとに人事考課をし、その期間に何をどのように成したか、自分の業績を自分でアピールする、、、、それを、面接に時間をかけて評価するようです。それは人材教育にもなるし、モチベーションも上がるし、何より能力の差を見分けることができるということなのでしょう。

90年代後半、首都圏ではまだディスカウントショップと間違えられることもあったユニクロはその直後、フリーズの販売が成功し、新たなカジュアルなファッションブランドとしてそのデザインが確立されます。そのデザインコンセプトがいつ確立したのか、誰のデザインか、考えていたのですが、、、、このフラットでストレートな経営手腕がカジュアルでユニセックスなファッションを研ぎ澄ませていったのかもしれません。

デザインとはしくみを現わし、描くことなのです。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

この十年ほど、ほとんどの衣料品はユニクロで購入しています。

ユニクロが成功した一番の要因は、世界潮流であるグローバル経済をジャスト(速からず、遅からず)のタイミングで実践されたことでは?

2000円のフリースが原宿で話題になるまでは、アジアで生産された衣料品の評価は芳(かんば)しくなかったと記憶しています。

半年ほど前の雑誌に、ユニクロの拡大戦略??が取り上げられていました。

記憶にのこているのは、次のような内容です
 日本の技術者を中国に多数派遣してその指導の成果があって、(世界一うるさいと言われる)日本の消費者に受け入れられる商品が低価格で供給できる体制を構築したが、派遣された技術者が退職年齢にあり、後継者が見つからない(不足している)のが不安要素になるのでは???

匿名 さんのコメント...

「っ」一文字欠けていました
訂正します

記憶にのこっているのは、次のような内容です

匿名 さんのコメント...

ユニクロを取り上げた記事がありました

タタの挑戦   
 勃興 「安くて良い」 新経済

日本企業はGMと同じ轍を踏んでいるのかも
2009.8.10、エコノミスト 臨時増刊  114

山形浩生 やまがたひろお
評論家


ユニクロから製造業に広がる「安くて良い」

ユニクロがわれわれの買い物行動の中で市民権を得て、すでにかなりたつ。そこそこの品質で、そこそこ良いデザインのものをそこそこ安く売るという戦略が、日本でも十分に受け入れられるようになってきたということではある。だが、それが当初かなり大きな衝撃だったことは、まだ多くの方が記憶しているのではないか。
当初は確かにユニクロに対して多くの人はアンビバレント(二律背反)な感情を抱いていた。
省略・・・・・・

同時にユニクロ現象は、中国製の安さを印象づけるとともに、中国製がかならずしも安かろう悪かろうではないことを多くの人に示したものでもあった。
そしていま、似たような動きが製造業の他の分野でも生じつつある。 これまで途上国とされてきた新興国が、これまでの常識を大きく打ち破る、ケタ違いの低価格製品を打ち出してくる。それらは低品質とか、安かろう悪かろうとか言われる。が、実際に見てみると、安いけれどそんなに悪いわけではない。それは市場を次第に侵食し、日本企業をはじめ先進国企業も対応せざるを得なくなる。一見すると、これはまったく新しい動きのように思える。が、一歩引いて考えてみると、これはいままで何度も繰り返し起こってきたことだ。ただ、かつて日本は追いかける側だった。それがいまや、追われる側になっているので目新しく見えるだけなのかもしれない。そして、単純にそれが低賃金とコピーに頼った価格破壊ではないことにも注意が必要だ。そこには安くするための努力がある。

低賃金、コピー段階は過ぎ 技術革新によるコストダウン
・・・・・・省略
あるいは最近はやりの「ネットブック」。もともと組み込み用だった低価格の非力なCPUを使い、小さめ
の液晶画面で機能を限定しつつ携帯性を重視したパソコンだ。出先でメールをチェックしてウェブが閲覧できればそれでいい、という割り切った発想で、しかも5万円以下の低価格。これを発表したのは台湾メーカーだった。
最初に発表されたときには、多くの国産メーカーは「うちはあんなのに興味はない」と一蹴した。だが、不況の影響もあったし、またユーザーの多くは、特に出先でさほど複雑な作業などしないという現実もあって、ネットブックは大人気となり、これまでにはない新しいカテゴリーを作り出した。そしてそれは頭打ちのパソコン市場の中で、数少ない急成長分野だ。結果として、当初はせせら笑っていた既存企業がいまや次々に、ネットブックかそれに類するものを出し始めている。パソコンが無意味に高スペック化していることはずいぶん前から指摘されていたが、それでも従来の企業はスペック競争で差別化して売るというモデルから抜けられなかった。ネットブックを発表した台湾企業は、抜け出せた。思い切った低スペック、思い切った低価格。それを企画して実現するだけの見識が彼らにはあり、そしていまや先進国の企業がそれを模倣する側にまわっている。

タタの「ナノ」も 技術革新の成果

こうした例として最近大きく注目されたのは、今年インドで正式発表された、タタ自動車の「ナノ」だ。2000ドルの車。急成長するインドの国民向けに開発された車。ミラーも片方しかないし、ハッチバックのように見えて剛性確保のためにバックは開かない。一見すると、とにかく引き算で削りに削って作った車のようにも思える。だが、中国のバイクの例でも見たように、それだけではこの水準の低価格は無理だ。2000ドルの車は、インド人たちによるかなりのイノベーションの成果なのだ。
それにより、従来では考えられなかった低価格化を実現した。そしてまだ量産はされていないものの、人気は一応あるようだ。予約は一瞬で埋まったという。しょせん2000ドルだし、たぶん物珍しさも大いに関係しているのだろう。でも多くのインド国民は、インドの国民車という愛国的な位置づけを割り引いても、この車の到来を心待ちにしているようだ。
この量産が軌道にのっで、そして下馬評通り売れれば(売れるだろう)、ナノは世界的な注目度からいっても、まったく新しい乗用車のカテゴリーを作り出したことになる。常用車の歴史の大きな流れのーつは、まさにこうした低価格量産車の歴史でもある。米国の消費者文化と現代モータリゼーションの基盤を作ったT型フォード、ナチスの肝いりフォルクスワーゲン・ビートル、ビートル対抗の農民車として開発されたフ
ランスのシトロエン2CV、各種の日本車――いずれも自動車史上に残る画期的なものだった。ナノもこの範躊に確実に入る。
省略・・・・・・

メード・イン・ジャパンを 笑ったアメリカ人の驕り

実はそれは、半世紀前の日本の姿でもある。初めて米国に日本車が輸出されるようになった頃、米国では日本車を馬鹿にするジョークが大流行だったという。日本車は非力なので、高速のランプでいつまでも本線に合流できず立ち往生していました等々。
いまでは到底考えられないことだけれど、日本製品の評価とはそういうものだった。戦後、日本製品とは安かろう悪かろうの代名詞ともされていた。筆者が大学時代の80年代までは、日本は模倣やコピーばかりでオリジナリティーがないというのはさんざん聞かされた話だった。むろん、そうした悪口やジョークを楽しんでいたアメリカ人たちは、GMやクライスラーに乗っていたわけだ。どちらも倒産してしまったのはご存じの通り。われわれは、この両者の経営陣がいかに市場を読めず、硬直していて新しいトレンドについていけなかったかを指摘して、笑ってみせる。でもひょっとすると、いますでに日本企業はかつてのGMやクライスラーと同じ轍を踏んでいるのかもしれない。下手をすると、今日見る彼らの末路は、日本の製造業の明日の姿になりかねない。
 2009.8.10 エコノミスト臨時増刊 116

匿名 さんのコメント...

9/17 NHKTV番組 クローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/

9月17日(木)放送
シリーズ アジア新戦略(2)
“ボリュームゾーン”をねらえ

30億人の巨大市場へと変貌し、世界経済の主役に躍り出ようとしているアジア。欧米市場の回復が遅れ、国内の需要の先細りが避けられない中、日本企業がアジア・シフトを本格化させている。日本企業の新戦略に迫る2回シリーズ、2回目は、ボリュームゾーンと呼ばれる新しい購買層への参入に挑む製造業。エアコンメーカーのダイキンは、秘蔵の技術を渡して中国メーカーと提携した。コストを削減するための苦渋の決断だった。販売網の獲得も大きな課題になっている。シャープは中国政府が進める「家電下郷」をチャンスと見て農村部に入り込み一から販売網を築こうとしているが韓国勢などの存在に苦戦。INAXは販売網を一気に獲得するためM&Aを行ったが、販売戦略の調整に苦慮している。どうすれば成長アジアの果実を得ることが出来るのか、あの手この手でアジア市場に挑む、日本メーカーの苦闘を追う。
(NO.2790)
スタジオゲスト : 木村 福成さん
    (慶応義塾大学経済学部教授)



http://www.nhk.or.jp/gendai/
9月15日(火)放送
シリーズ アジア新戦略(1)
“国づくり”をビジネスに

シリーズ第1回は、アジアの国づくりを支援する、新たなビジネスモデル。成長が続くベトナムなどで急速に高まるインフラ需要に応えようと、日本の企業が、発電所や高速道路、鉄道などの運営に乗り出している。これまでのように「作って終わり」ではなく継続的に収益が得られ、貢献にも繋がるのがメリットだ。国もこのビジネスを新たな成長戦略と位置づけ、「PPP」という官民連携の新たな事業手法で企業の進出を支援している。また、こうした事業によって、これまで注目されなかった貧困国にも投資が集まっている。バングラデシュでは、NTTドコモが巨額の資本を注ぎ携帯電話の普及を進める。また、手作業で行われている銀行の事務をIT化し、経済の基盤を作ろうというプロジェクトも産学連携で進む。将来は、1億6000万の国民に多機能カードを普及させ、ライセンスフィーやメンテナンスで利益をあげる大きなビジネスに育てようとしている。活発化する「支援型ビジネス」の可能性と課題を探る。
(NO.2789)
スタジオゲスト : 木村 福成さん
    (慶応義塾大学経済学部教授)

「あすの日本」プロジェクトはこちら
 

Unknown さんのコメント...

インドのタタ財閥の地域社会への貢献を取り上げた番組の記憶があったので、
HPを検索したら、別の視点に立った番組紹介HPがありました


BS特集「インド巨大財閥の挑戦~世界最安カーはこうして生まれ」
印刷 BS特集「インド巨大財閥の挑戦~世界最安カーはこうして生まれた」 チャンネル :BS1 放送日 :2009年 9月 6日(日) 放送時間 :午後3:10~午後4:00(50分) ジャンル :ドキュメンタリー/教養>社会・時事 番組HP:- 世界不況の中、インド最大の企業グループ・タタ財閥が起死回生をかけて価格およそ20万円 ...
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/k/20090906/001/11-1510.html - 10.0KB 2009年9月6日 最終更新



サラリーマンNEO | Story | 世界の社食から | タタ・モーターズ
NHK「サラリーマンNEO」の公式ホームページです。毎週日曜午後11時~11時29分、総合テレビで好評放送中!
http://www.nhk.or.jp/neo/contents/story/shashoku022.html - 22.8KB 2009年8月17日 最終更新