2008年1月30日

場所の力

大学の勤務地岡崎市本宿町は岡崎市と豊橋市の中間、山あいの宿場町です。新しい住宅地も広がっていますが、旧東海道を中心に古いすばらしい木造の民家やオフィスが残っています。

写真の建築は現在はほとんど使われていないようですが、元本宿公民館です。よく見ると、基礎はコンクリートの表面上に小さな砂利で保護され、化粧され、土台や柱もその上に木の板でカバーされた高い仕様です。また、ポーチの屋根の破風にもモルタル状のレリーフが施されて、高いデザイン意識で建設されていることがわかります。

周辺の豊かな古い民家もあわせて、かつては町の拠点として、活発な活動が行われ、豊かな文化と精神を保っていたと考えられます。

まちの財産として守ることが必要ですが、建築とそこで行われる活動とが一体となって、継続、継承してゆくことがなにより重要です。デザインとは表面的な美しさやかっこよさを生み出すものではなく、人やその活動を促し、推進する建築や場所をつくりだすものです。だから、豊かな場面をつくるためにデザインが必要なのですね。

この古い元公民館を再生し、市民の活動を促す豊かな場面をつくれないか、と考え始めました。

0 件のコメント: