2007年10月1日

指定管理者という名の民営化

東京では多くの、そして多様な劇場が開館を迎えているようです。


中でも、杉並区高円寺に300席の小劇場を備えた「杉並芸術会館」は2009年春に開館の予定ですが、区内在住の演劇人による非営利組織(NPO)が指定管理者となり、「杉並ならではの文化的個性を備えた劇場」を目指すようです。


これまで公的施設においては行政やその外郭団体により運営が行われてきたわけですが、管理運営制度が改革されて、行政から指定を受けた民間の法人にも公的施設の管理運営を委託されるようになりました。

高円寺会館のような新しい演劇空間には柔軟な運営と豊かな企画力が不可欠であり、総合的な事務的能力ではなく、また、舞台装置や照明装置の管理など専門的な能力でもなく、新しい企画や展開性をつくりだせる能力とセンスが必要とされるからではないでしょうか。


このように劇場では企画や運営を期待されて、新たな民営化組織が要求されてきている一方で、逆に図書館の民営化とは、これまで管理運営を行ってきた司書という専門職員を排除して、大手の販売管理会社への丸投げであることが多いようです。


劇場と図書館、この違いはどこにあるのでしょうか。

図書館を本の管理を行う専門的業務の場と考えるからではないでしょうか。だから、本の管理会社でいいのだという安易な考えが生じしてしまう。

劇場が舞台装置や照明装置の管理場所でないように、図書館も本の管理の場所ではありません。そう考えるとき、司書という独自の豊かなオリジナリティを持った職能が見えてくるはずです。


そのオリジナリティを見つけることこそ、公募することこそ、民営化のもっとも大切なことではないでしょうか。

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