2009年6月18日

別府現代芸術フェスティバル

湯の町別府では、「混浴温泉世界」と題し、現代別府芸術フェスティバルが6月14日まで開催されていました。湯煙の立つ町のいくつかの場所を舞台に、芸術作品をまちに入り込んでゆくひとつの接点として考えられています。アートレジデンス、ダンス、音楽、裏町散策など。

芸術とはよくわからない行為と思われているかもしれませんが、案外、まじめで素朴な視線をもって、まわりのいろいろの環境と対峙しているのです。そのまじめさが、古い利権や制度に結びついた帰属意識いっぱいのまちづくりから見るととても新鮮で、素直で、すがすがしく感じられます。そして、そのまじめさゆえに成功するのでしょう。

多くの地域や町では、芸術活動を取り込んでまちづくりへ向けた情報発信を行っています。それは創る人である芸術家を育てるだけではなく、見る人、取り込まれる人の感性を磨いています。現実に作品を創る人の真剣な姿から学ぶことはとても多いのだと思います。こうした活動が実際のまちの、地域の活性化にも大きな役割を果たしています。

そして近年、それらを支える人、パートナーと呼ばれる地元企業やサポーターと呼ばれるボランティアの人たちが注目されるようになりました。越後妻有、大地の芸術祭でも頑なだった地域をほぐし、成功へ導いたのはこうしたボランティアの真剣な姿だったと言われています。

何ものにもとらわれない、自由で独立した意識を持ち、やりたいという意欲で取り組む彼らこそが地域を真摯に見つめ、目の前の現実性によって硬く凝り固まってしまった地域性や帰属性を解きほぐし、閉じた目を大きな世界に向ける役割も担っているのではないでしょうか。

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