2007年9月21日

クライアント

クライアント、古い建築の世界では施主とも言われます。若干ニュアンスが違うように思いますが、クライアントと呼ぶほうが、クリアでオープンで広がりがありそうです。

私たちはクライアントから期待を受けます。だから、クライアントのニーズを実現することが業務であるかのように思われます。もちろん、クライアントの利益は守る必要がありますが、そのニーズに従うというより、「ニーズを発見する」ことが重要なのではないかと考えます。それは既知のニーズだけではなく、まだ見ぬ新たなニーズが求められているのだろうと思うのです。

それはクライアントの今に存在するというより、少し未来に隠れていると言えるでしょう。

まだ見ぬものを具体化することはとても困難なことで、想像力が不可欠ですね。だからこそ、そのためにはクライアントの声を徹底して聞く、ことが必要となるのです。聞いて、今の自分が取捨選択するのではなく、未来の自分が考え、未来のクライアントが評価するのだということを想像すべきなのです。

それはまちにも同じようにいうことができるでしょう。まちの今を語るためには、まちの少し未来を見極める必要があるのであり、そこに想像力という見えていないものを描く力が要求されるのです。しかし、その見えないものとはクライアントのすぐ後ろに隠れているものなのではないかと考えています。

僕たちにとって、まちにとって、クライアントとは人そのものと言えます。

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