2007年8月2日

建築とファッション

東京、六本木の新国立美術館http://www.nact.jp/で「スキン+ボーンズ/1980年代の建築とファッション」展が開催されています。新国立美術館は数年前、黒川紀章事務所や僕が所属していた内井昭蔵事務所などが指名プロポーザルに参加を要請されて競っていたプロジェクトです。結果は残念ながら黒川事務所が選ばれたのですが、、。

新国立美術館は収蔵作品を持たず、大きな巨大な空間を持った展示空間がその大部分を占める貸館的美術館です。巨大な展示空間を確保することが第1の条件であり、そこへ多数の搬入者動線をスムーズに、明快にすることが第2の条件であり、一般者の動線の条件が最後になるのですが、それも多数の展覧会へくるそれぞれの訪問者が混乱しないように明快に区別できるようになっています。とても、巨大でシステマティックで単純な建築なのです。

空間の領域を作る、スキンをどのように考えるか、考案するかの歴史がつづられている展覧会でした。

領域を囲い込むこと、環境を取り込むことが建築であり、ファッションですが、同時に、それによって形作られたスキンは自分自身に代わって、何かを表現しだします。ファッションと建築というその規模や形状、存在する時間が異なろうとも、その部分に葛藤するデザイナーの意識に違いはないようです。

たぶん、自由で何でもできると思われているファッション-服飾デザイナーはむしろ規範を求めてさまよい、1枚の布に多くの意味を持たせていったのであり、一方、習慣や制度、素材や制作など従来の規範に我慢がならない建築家は、柔らかで、はかなく、ゆらめくようなスキンをつくりあげてきました。建築は今や、その骨格となるボーンにまで柔らかさを展開し始め、建築の考え方を根底から覆そうとしています。重力からの乖離であり、同時に、そこで活動する人々への目線を強めているのです。

今、僕も古い小さなビルの外装リニューアルを行うために、金属のメッシュ(金網)で幾重にも覆い、柔らかで、透けるようなデザインを行っています。

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