2007年7月31日

町を描くことから1

オカザキウォーキングマップ(Okazaki WKMP) ~町を描くことから町づくりへ~の第一部、「ウォーキングマップとは」がまとめて掲載されました。現在は第二部の校正中、第三部に向けてマップを制作中です。 岡崎の地域の新聞社、コミュニティシンクタンクの大きな力となってくれるだろう、東海愛知新聞社、その一面に、6月20日から29日にかけて7回のシリーズで連載されています。

その第1回から順にここに掲載してみたいと思います。まちづくり、コミュニティシンクタンクに運営に不可欠な視点と考えています。まちに対する視線だけではなく、僕のまちづくり、市民活動に向けた視線であり、価値観です。

1.町とは何か。

私たちは岡
崎という町に面白さを感じ、どのような町なのか、その面白さはどこから生じているのかを明らかにしようと考え、町を描く作業をスタートさせた。研究室のメンバーが岡崎の町に出て、町の面白い形、気になる場面、活気のある場所などを自ら町を歩き、発掘し、地図に記録するのである。最初はどこも活気がない、興味がわく場所が少ない、何を見つけたらいいのかわからないと悩み、作業が進まなかったこともあった。しかし、何を見つけてくるのか、また何を撮ってくるのか、初めは見えてなくても、歩き回るなかで次第に見えてくるものだ。何も見えないと思えた場所においても、何らかの岡崎らしさを発見しようとする意志を持つことで、多くのメンバーが岡崎の何かをつかまえるようになった。このようにして地図に描いた町の姿を私たちはウォーキングマップと呼んでいる。

昨年11月には成果の一部を10枚のパネルにして発表し、私たちの進む方向性もはっきりと見えてきた。今回は成果の全体像を明確にし、私たちの視点から描いた岡崎の町の姿を3部構成でお届けしたい。

まず、第1部はこの町を描くウォーキングマップの基本となる考え方を7回のシリーズで提言する。それは町とは何かを表す新たな発想であり、町を自分たちの視点で語る新しい町づくりの理論である。町に住まい、活動する人たちが町に向ける人間的な視点でもある。
次に第2部として、メンバー一人ひとりが町を探索し、制作したウォーキングマップをそのテーマごとに紹介する。歩いた軌跡や写真や簡単なコメントなどを表したマップによって町の隠れた断片を描き出す。最後に第3部では個別テーマの中からいくつか選定し、町の全体マップを発表する。現在、メンバー全員で町全体を歩き回って制作中であるが、一つの完成形となって、はっきりと町の形や領域が見えてくるはずである。

私たちの作るウォーキングマップは歩くための道しるべではなく、自ら町を歩き、探索することによって見つけた町の姿を記録した地図である。

町とは身近なものである。そこに住まい、生活を行う場所であると同時に、歴史や文化、風土などの拠り所となるものである。また、同時に私たち一人ひとりの力ではどうにもならない、何か有機体のようなものでもある。

そうした生きている町の姿をそのまま描いてみたいと考えている。町を記録した地図は数多くある。しかし、その多くはいずれも抽象的な側面や観念的、計量的な側面から町の一面を明らかにするだけで、真の町の姿を映し出してはいないと感じる。目指すのはこうした地図ではない。

町をつくる視点は様々にあっていいが、町が抽象的な視点からその方向性を定められていることが問題なのである。このような町への視線は町を数字や記号やモデルに置き換えてゆくという抽象化の過程で町の身近な姿や豊かな形を失わせてゆく。町づくりには町そのものを見ることが必要である。町とは普段は見ているようで見えていないものであるが、自ら町に向い、それを感じとり、肌で感じた町の姿を見つめることが大切である。

生きた町をそのまま記録することで新たな町の形を描く地図-ウォーキングマップを構想したい。それは岡崎の本当の姿を映し出し、次代の岡崎へとつなぐ指針になるに違いない。岡崎とはどんな町かと考えてみる、いや見つめてみる必要があるのだ。」

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