2007年7月9日

フィードバック

昨年11月にサイン計画監修の依頼があった岡崎市東庁舎が完成目前となり、次週にでも見学させていただくことになりました。

当時、岡崎市財務部の木河氏を始め、担当の方たちからサイン計画の説明を受けました。熱意を持って頑張られた様子をひしひしと感じたものでした。実はサイン計画自体はよくできていて、修正する部分はほとんどなかったのです。しかし、大切なことはその優れたサイン計画に基づいて建物本体の計画にフィードバックすることであると提案しました。つまり、工事中の建物の設計変更を行う必要があったのです。

問題はハードとソフトのずれなのです、いくらすばらしいサイン計画でも本体とずれがあっては効果的ではありません。どんな分野でも同じで、だからフィードバックを行うのです。内井昭蔵事務所ではいつも当たり前のように変更作業を行っていました、リデザインと言っていましたが、僕たちは楽しみながらやっていました。
これはまたとても面倒なことでもあるのですが、でも、建築の質に大きくかかわるのです。だから、やらねばならないのです。

間違いやずれは必ず生じてくるものであり、それはないと言い張るのではなく、修正してゆく、フィードバックすることが重要です。思考を重ね、フィードバックすることで新たな価値、それまで見出せなかった方向が見えてくることも多々あります。
今回担当された木河氏たちはこの面倒な、行政ではなかなか取り組めないと思っていたことを実行に移されました。多くの障害をクリアされたのだと思います。
少し元気が出てきました。

フィードバック(feedback) とは、絶えず自己を見つめ、相互に情報交換、応答を行うことであり、自律的組織であるかどうかの評価を行う指標となるものではないかと考えます。

「元来はサイバネティックスの用語である。生物の恒常性を支えるしくみにその原理が見られ、ある操作をおこなう系と、それへの入力と出力があるとき、その出力が入力や操作に影響を与えるしくみ。」(ウィキペディア(Wikipedia)より)といった原点の意味から、エレクトロニクスや製造分野で用いられるだけではなく、フィードバックは、医学やITの世界で頻繁に交わされる考え方になりました。

「私たちの心身は外界からの刺激に反応して時々刻々変化しています。外部に向けては筋肉を動かしてそれに反応するとともに,内部では自律神経系や内分泌機能などを通じて体内環境を適切に調節します。 ただ,その多くは無意識的に操作され,意識にのぼってくるのはごく一部です。したがって,体内状態を意識的に変化させる事態や必要性は,日常ではほとんどありません。そのため,私たちの体内状態を変化させることは意識とは無縁であると,長らく信じられてきました。たとえば,自分の体温を意識するだけで変化させることなどは不可能であると思われてきました。 ところが,このような体内状態を適切な計測器によって測定し,その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより,従来制御することが不可能であると考えられてきた諸機能を意識的に制御することが可能であることが分かってきたのです。 このように,意識にのぼらない情報を工学的な手段によって意識上にフィードバックすることにより,体内状態を意識的に調節することを可能とする技術や現象を総称して"バイオフィードバック"とよびます。」(日本バイオフィードバック学会Hpより)

それはコミュニケーションを始め、多くの活動においても重要な考え方であり、意識をして自らの環境を調整してゆくことが必要なのだと思います。まちづくりにおいても、その手段のひとつが中間性媒体となるコミュニティシンクタンクなのです。

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