2007年7月26日

見るものから見られるものへ

東京は、門前仲町にある門仲天井ホールで、「音”りたくてしかたがない」~現代音楽に即興に ピアノとマリンバでおどりだす~ 赤羽美希氏(ピアノ)+正木恵子氏(マリンバ)と矢作聡子氏率いるダンススペースGによるコンテポラリーダンスとのセッションを体験してきました。

近年はどの分野も即興的表現を加え、やわらかな、身近な表現を行っている。即興的に作曲された音楽に、これまた、即興的な要素を強くもった踊りを加え、しろうとっぽく、危うさを抱かせながら、音楽やダンスの生まれる瞬間を表現しよう、音楽やダンスのテーマにして行こうとした試みであると感じました。

最後には、観客席の幾つかが椅子ごと舞台の中に引きずり込まれ、見ていた人が突然見られる人へと、演じる人へと転換させられて、ホール全体がひとつの舞台となり、騒然とした、大きな渦の中へ投げ込まれたような雰囲気のなかにいました。好むと好まざるにかかわらず、(このセッションに来ていた人たちはたぶんそれほどの驚きもなく)舞台に引き上げられたのです。

ここには人の活動の本質的な形が表わされています。見ること、と見られること。演じること、と観客でいること、それはそれほど大きな差のあることではないのです。たとえ、クラシック音楽にしても演奏している、音楽を作っているのは演奏者だけではなく、そこで聞き入って、体の中に音楽を感じている人なのだと思うのです。

そのことが新しい音楽、即興的な音楽やコンテンポラリーダンスから直接的に感じることができます。
今の社会のさまざまな活動はどちらが主体で、どちらが客体などという、区別は必要なく、両者が融合して初めて、活動が動き出すのではないでしょうか。

矢作氏の舞台が渦を巻いて客席を取り込んでゆく時、観客は度胸を決めなければならなくなります。見るものから、見られるものへ、演じるものへ。
しかし、一度体験すると、演じるものの面白さは誰でもが共有でき、楽しめ、病みつきになると思います。

そんなことがまちづくりにも、ものづくりにも、さまざまな活動にも言えるのではないかと思っています。

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