2009年7月19日

富山水ビジョン

福井平野を飲み込むようにして流域を形成している九頭竜川の水系図です。この地域は、その名の示す通り、暴れる水との闘いであったようです。

しかし、同時にその豊かな水系の恩恵にもあずかってきたようで、きめ細かな入り組んだ水系のネットワークからは自然としての、文化としての、生活としての水の豊かさが伝わってきます。

こうした地域の状況は北アルプスの山の麓に位置する北陸地方では共通するようです。

富山県でも水系に着目し、地域のビジョンを描こうとしています。

「富山水ビジョン」策定の趣旨は
「本県が豊かな水の恵みを受けられることとなったのは先人たちの努力の賜物であり、今後ともふるさとの貴重な財産として県民全体で守り育むことが大切

21世紀は「水の世紀」と言われ、水施策の総合的な推進が重要な課題

「天然の円形劇場」ともいわれる本県は、ほぼ独立した水循環系を有しており、水ビジョンの推進により健全な水循環系の構築においてモデル県をめざす」とされ、

その役割として
「水に関わる各種施策を総合的、横断的に推進するための指針
 健全な水循環系の構築に向けて各主体が取り組む際の指針」が示されています。

水ビジョンの推進により健全な水循環系の構築においてモデル県をめざそうとするものです。

水とは富山の人たちの生活のしくみ、コミュニティのありようを作ってきたのです。その水に取り組むことで多くのものを横につなぎ、総合的に取り組むための手段とすることもできるようです。

http://www.pref.toyama.jp/sections/1711/mizu/mizu_vision/vision_yakuwari.html


それを視覚的に表わしたものが、左の図です。
川から、用水路へ、排水路へ、そして、地域の水田の用水路や地域の洗い場へ、、、そしてまた川に帰ってゆきます。いくつもの種類の水系が組み合わさってより密接な、生活文化に溶け込んだ末端神経のようなネットワークが地域のコミュニティの中で築かれています。

水文化という視点からきめ細かく表わされた素晴らしい調査と研究です。ビジョンに描かれているように水のネットワークから導かれる、「人づくり」「地域づくり」「仕組みづくり」の視点を持つことによって富山の将来は保障されるように感じます。



膨大で緻密な、志の高い報告書ですが、最後の今後のまとめが、今後の取り組みについてがイマイチ消極的です。水ビジョンとは県民にとって好ましいはずのものですが、、、工業団地や産業団体にいらぬ配慮があるのかもしれません。

このまま水系を守り、そして活用してゆく、そこに富山の、北アルプスを抱く地域のアイデンティティがあるのではないでしょうか。もっと積極的に県民に方向性を与え、同じアルプスのを水源とする福井や石川までを含めた大きな取り組みにすべきではないかと感じさせられました。



施策展開の基本姿勢

1 水循環に関する情報ネットワークの構築富山県における地域の水環境保全活動等を、インターネットやイベント等を活用して情報発信する。水循環に関するポータルサイトを構築し、本県独自のバーチャルミュージアム※としての水博物館や環境科学センターなどの行政機関、富山大学などの高等教育機関、さらには、㈶環日本海環境協力センターなどと連携しながら、水循環に関する情報を国内外に向け発信する。



2 推進体制水に関する施策は、広範囲で多岐な分野が密接に関係するため、循環資源である水に対する共通の認識に立ち、連携を取りながら推進する。流域を単位とした取り組みや地域に密着した取り組みなど、国や市町村との連携や役割分担により施策を推進する。

3 県民の参画と協働施策の推進にあたっては、自治会や地域団体、民間団体、ボランティア組織、NPOなど様々な形での県民の参画と協働を得る。節水や水の有効活用、水質の保全、水源の涵養、防災活動、水を通じた交流と連携など、水の役割や大切さ、様々な水問題、水に関する事業や取り組みなどの情報の収集・発信に努める。

4 進行管理学識経験者や関係団体代表等で構成されている「水ビジョン推進会議」を定期的に開催し、各種施策が適正かつ効果的に実行されているか、幅広い視点からの助言等を得て施策を推進する。水ビジョンの基本目標に向かって、各種施策がどのように実施され、成果を発揮しているか、定期的に検証していく必要がある。このため、「水ビジョン推進会議」において、設定した目標指標の到達度を評価し、施策の進行管理を行う。

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