2009年7月25日

ブルー・オーシャン

競争のない世界を創造する。という「ブルーオーシャン」が今、経営者や起業家の間で話題となっているようです。かつては大競争時代が予見されていたのですが、この流れもひとつの競争の表れかもしれませんし、それはもっと厳しい競争の形と言えるかもしれません。

「企業が生き残るために、既存の商品やサービスを改良することで、高コストの激しい「血みどろ」の争いを繰り広げる既存の市場を「レッド・オーシャン」、

競争者のいない新たな市場でまだ生まれていない、無限に広がる可能性を秘めた未知の市場空間を「ブルー・オーシャン」と名づけています。

この「競争」とは無縁のブルー・オーシャンという新しい価値市場を創造し、ユーザーに高付加価値を低コストで提供することで、利潤の最大化を実現するというのが、この戦略の狙いです。」(http://www.climb-plus.com/word/word.php?category=1&line=5 より)

シェア拡大(低価格化)という体力勝負でもなく、差別化(付加価値化)という努力型でもなく、マーケットの枠組みを変えたり、新たなマーケットを開発するという、顧客啓蒙型と言えるかもしれません。

新たな価値の創造に直結した変革、バリュー・イノベーションという困難な課題を成し遂げるのは現実的には大変です。 しかし、一定の枠組みの中で行動や発想を考えるのではなく、市場の境界も業界構造も一定ではなく、そこで活動する企業などの行動や発想しだいで変わると考えることで案外簡単に現実化できるかもしれません。それは再構築主義(reconstructionism)と呼ぶことで理解が進みそうです。

詳しい分析や理論よりも、そこで紹介されている「シルク・ドゥ・ソレイユ」や「イエロー・テイル」、「ニューヨーク警察本部」の成功例がよりわかりやすいでしょう。「iモード」も紹介されています。

デザインや設計も相反する条件を同時に解決できる方向を指し示すことができるものです。新しい価値やアイデアを生み出すために、既成概念を捨て、自由な視点を求めて、日頃は遊んでいるかのようにも見え、あるいは書斎にこもりっきりというような仕事ぶりです。

徹底的に描きあぐねた後、ふとした拍子にとらわれていたことから解き放たれた時、新たな価値を生み出すアイデアが見えてくるものです。

二つの相反する価値を折衷するのではなく、つまり、x軸とy軸のどこかに答えを見つけるのではなく、そのどちらでもないz軸の方向に総合的な新たな回答を発見する。それがデザインなのです。

デザインとはイノベーションと言えるのではないかと考えています。

最後の章にイノベーションに不可欠な、戦略実行にともなう組織面の4つのハードルが書かれています。

・意識のハードル:現状に浸りきった組織
・経営資源のハードル:限られた経営資源
・士気のハードル:やる気を失った従業員
・政治的なハードル:強大な利害関係者からの抵抗
そして「常識」を書き換える。

どのような分野にも、どのような戦略にも、同じように越えなければならないハードル、阻害要因があるようです。

組織においても、また地域においても、多くのステイクホルダー(stakeholder / 利害関係者)があって、利権やなれなれしさを要求してきます。企業が顧客の本当の姿をとらえることによって、ブルー・オーシャンを発掘するように、地域においてはステイクホルダーの本当の姿を見極める必要があるようです。

目の前のステイクホルダーをひとつはずしてみればいいのではないでしょうか。
まずは、環境整備と意識改革。ブルー・オーシャンへの道のりです。

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