2009年7月20日

黙示録

建築の黙示録は写真家宮本隆司氏が廃墟となった建築を撮影したものです。

浅草松竹映画劇場や汐留駅、サッポロビール恵比寿工場など多くの朽ちた建築の姿をカメラに収めています。


なぜ、と思われるかもしれません。しかし、朽ちた姿からは意外に新しく、斬新な印象を持ってしまうのです。


表層の身にまとっていたものをすべて落とし、完全な形をしていた時には気がつかなかった建築の面白さが見えてくるのです。特に構造体、空間構成、透過性。それから、光、写真ではわかりませんが、たぶん風なども感じられるのでしょう。劇場などの場合、オーディトリアムは完全遮光、遮音の閉じられた世界ですが、廃墟の中では屋外の中庭のような光あふれ、視線の集まる空間となっています。


なぜ、廃墟か?現代では忘れられてしまった、躍動的な、構造的な建築の姿が新たな空間として見えてくるのです。新しい建築の発見、、、つまり、もう一度孵化過程へ。


黙示録とは、新約聖書の最後の一書であり、95年ごろローマの迫害下にある小アジアの諸教会のキリスト教徒に激励と警告を与えるために書かれた文書とのことです。

この世の終末と最後の審判、キリストの再臨と神の国の到来、信仰者の勝利など、預言的内容が象徴的表現で描かれたもので、ヨハネ黙示録が有名です。


つまり、「終末と未来」とを象徴的に現すものであり、将来を啓示するものなのです。


廃墟の中にこそ本質が見え、あるべき姿が見えているということなのですね。そこに私たちが魅かれるのです。

ハドリアヌス帝の離宮だったローマ郊外のヴィラ・アドリアーナ。私の一番好きな建築です。

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