2009年8月11日

ゼロ・ウェイスト

福岡県大木町は水郷の町柳川市の北に位置し、人口14500人ほどの町です。生活や農業の用地確保のために整備された掘割(クリーク)と呼ばれる水路が縦横に走り、地域の風景を作っています。

「大木町には、・・・・・拠点施設『おおき循環センター「くるるん」(平成17年度に全国で5箇所のバイオマスタウンの指定)』が平成18年11月に本格稼動し、住民の皆さんと行政が一緒になって各家庭の生ごみを分別し資源化する取り組みがスタートしています。 

この「くるるん」は生ごみのほか、し尿、浄化槽汚泥をメタン発酵させ、エネルギーや有機液肥として活用する循環事業に取り組み、全国でも先進的な事例として注目を集めています。

今までのごみ処理の方法は、高額の税金をかけ、地球温暖化などの深刻な環境問題を起こし、子どもたちの未来に大きなつけを残しています。 これからは、ごみを資源として地域の中で循環利用し、環境を壊さない持続可能な暮らしを築いて次の世代に引き継がなければなりません。そして大木町で暮らすことが、住民一人ひとりの誇りになるような循環のまちづくりを目指します。」(http://www.town.oki.fukuoka.jp/chouchou/chouchou_6.htm より)

こうした本物の動きは地方から広がりつつあるようです。

近年、ゴミの特定の種別ごとに分別するようにいくつかのゴミ箱が設置され、私たちも幾分その意識を高めるようになりましたが、そのような市民任せの無責任な政策ではなく、真にゴミをゼロにする事業が始まっています。

「徳島県上勝町にはいま、全国から研究者や議員らがひっきりなしに訪れている。人口約2000人の小さな町に、昨年は約2500人がごみ問題の視察にやって来た。

上勝町は2003年、全国初の「ゼロ・ウェイスト」を宣言した。ごみの再利用や再資源化を進め、20年までに焼却・埋め立て処分をなくすことをめざしている。ごみ収集車は走っていない。住民が自ら、町の「ゴミステーション」に持ち込む。

分別収集の品目は34種類に細分化。「スチール缶→建設用資材」「ペットボトル→繊維・シート」「蛍光灯→断熱材」「雑誌→おかし等の箱」……。分別後の行き先を記した容器に入れていく。分別の手伝いをしている舟井康雄さん(66)は「かつてはごみを山に不法投棄する人もいて困っていた。最初は面倒だと言う人もいたが、今は喜んで協力してくれる」と話す。

「ゼロ・ウェイスト」は1996年、オーストラリアの首都・キャンベラが宣言し、米国やカナダなどの自治体が続いた。日本では上勝町に次いで福岡県大木町が昨年3月に宣言。バイオガスプラントで生ごみなどを発酵させ、エネルギーや有機肥料として再利用している。06年に稼働するとごみ処理量は半分近くに減った。東京都町田市や神奈川県葉山町など首都圏でも「ゼロ・ウェイスト」をめざす動きがある。」
http://www.yomiuri.co.jp/zoomup/zo_090810_01.htm より)

若干のエネルギー効率と補助金によって、新しい製品へと買換えを行い、近視眼的に微量の消費電力を削減しても、製造や廃棄のエネルギーの方がよほど大きいのではないでしょうか。

エコロジーは循環することが基本です。生物が住み合う社会や環境とはすべてがつながり、連鎖するものであるという概念です。同時に、エコノミーもまた循環する、だから見誤るのかもしれません。エコではなく、こうした本当のエコロジーこそが私たちに不可欠です。

これまでは消費の入り口をインフラと称して整備してきました。しかし、これからは消費の出口を抑え、次につなげてゆく必要があります。そこに次代のインフラがありそうです。

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