2009年8月16日

全国知事会の評価

「地方分権化」「道州制」という掛け声は聞こえてきますが、本当に地方に権限が移行するのか、また権限が移行して、それが地方の手に負えるものなのか、見えてきません。

一部の有力知事によってその様子が公になる機会が多くなった「全国知事会」、地方分権と言われる中でその主役の顔が見えてきたことは望ましいことではないでしょうか。

彼ら「全国知事会」が政党のマニフェストの内、地方分権にかかわる部分の評価、「地方分権政策に関する政権公約評価結果」(http://www.nga.gr.jp/news/saisyuu090808.pdf より)を公開しました。

評価の基準は10点満点を3段階くらいに分けて設定されているようです。とりようによっては、どのようにも解釈できる曖昧なマニフェストをどのように点数をつけたのでしょうか。

目指す、充実する、配慮する、、、、数値目標もなく、確実性もない多くの文面を好意的に解釈したのでしょうか。

一方、評価した側、知事のマニフェストはどうかと言えば、、、、、、、、、

ちなみに愛知県神田真秋知事の場合。(http://www.pref.aichi.jp/chiji/manifesto/index.html より)

流行語やキャッチフレーズでいっぱい、市民にわかりやすいと言えるかもしれません。電通や博報堂のような広告会社がかかわっているのでしょうか。

プロ仕様のマニフェストとはいかなるものか、マニフェストが政治に不可欠になってまだ日が浅い日本ではまだ、わかりやすく、本当の政治姿勢が見えてくるものが少ないかもしれません。すべてを表現しようとすると薄れてしまいますし、言いたいことは山ほどあるし、、、、どの世界でも悩みは同じですね。

むしろ、進むべき方向への決意やコンセプト、それが表現できていることが重要なのかもしれません。

「4年前は小泉、今は鳩山」と言って、国民の右往左往を嘲笑するジャーナリストがいますが、国民を見ていないのでしょう。国民はそんなに馬鹿にしたものではありません。言葉が表現する不毛な弁明ではなく、もっと大きな政治への軸線を国民は見出しているのではないですか。

地方分権政策のわずかな違いなど取るに足らないことです。経済成長と言ったって、政治家の言う通り人為的に市場が動くとは思えません。福祉、子育てと言うのは簡単ですが、人間の根源的欲求に取り組まないで、補助金や休暇でどうにかなるものでしょうか。

特定郵便局の利権に代表される、社会を後退させているすべての旧勢力を解体する、小泉元首相の思いが国民に瞬く間に広がっていったのではないかと感じます。それは「郵政だけで決まってしまった」のではなく、大多数の国民がその思いを共有していたのです。マニフェストの一つひとつをチェックして、これは自民、こちらは民主、、、、などと馬鹿げた評価をしている場合ではありません。

「美しい日本」じゃわからない、「友愛」でもわからない。美も愛も人の数だけ存在する。もっとドラスティックに、もっとドラマティックに、そしてロマンチックに政策を語れないと政治ができない時代になってきました。


ところで、愛知県知事のマニフェスト、道路の整備はしっかり、ダムのことはこっそり書いてありました。

「被害の半減をめざした地震防災対策や災害対策を進めます。
○ 河川の改修、流域貯留機能の確保などの総合治水対策や、海岸保全対策、土砂災害対策を進めます。


渇水への対応を強化します。
○ 設楽ダムについて、平成19 年度中の着工に向けた手続きを進めるなど、建設事業を促進します。

陸・海・空のさらなる交流基盤を整備します。
○ 第二東名・名神高速道路、名古屋環状2号線、三遠南信自動車道、名古屋高速道路、名豊道路などの整備を促進します。
○ 西知多道路、名浜道路、名岐道路の早期事業化に取り組むほか、一宮西港道路や名濃道路などの計画熟度を高めます。
○ 伊勢湾口道路や三河湾口道路の構想を推進します。
○ 日常生活圏における道路ネットワークを一層充実します。
○ 愛知環状鉄道の新豊田駅から三河豊田駅間の複線化を進め、平成20 年度の供用開始をめざします。また、沿線開発の促進を図りながら、東部丘陵線の利用を促進します。
○ 地域の足を支えるバスネットワークの維持に努めます。
○ 名古屋港において、世界最大級のコンテナ船が寄港できる次世代高規格コンテナターミナルの整備を促します。
○ 三河港において、自動車専用埠頭の拡張や自動車リサイクルポートの形成、コンテナターミナルの増強を図り、特定重要港湾への格上げをめざします。
○ 衣浦港において、背後圏へのアクセス強化や港湾施設の耐震化などを図ります。
○ 中部国際空港の第2滑走路建設に向けた取組みを、行政・民間が連携した体制をつくり、進めます。○ 県営名古屋空港において、ビジネス機、コミューター航空など多様化する航空需要に応える空港づくりを進めます。」

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

愛知県の目指す政策を改めて確認できました

まだまだ、愛知県の存在は、報道量が少ないせいか? 中央集権で、東京に向いているせいか? 普段は存在が薄いようにかんじます

昨年の知事選挙の時、神田知事の選挙事務所に数回行きました。
目指す政策を大きく書いた紙が天井から西側の壁一面に垂らしてありました。
目新しくて記憶に残ったのは、最後の方にあった
「国際的な文化イベントを開催する」です



記憶にないのですが過去に「名古屋デザイン博」があったようです
栄にあるナディアパークデザインセンタービルの図書室?を時々利用しますが関連があったのですか?

1. 名古屋デザイン博覧会@20050718230315 - はてなキーワード
2005年7月18日 ... 1989年、名古屋市で行われた博覧会。名古屋でデザインというミスマッチなテーマもさることながら、その内容が興行的?に大失敗であった為、名古屋人の間ではタブー、もしくは自嘲の対象となっている。略称:デザイン博、もしくはデ博。 ...
d.hatena.ne.jp/keywordlog?klid=502203 -

匿名 さんのコメント...

土曜日に「JMM」で配信される冷泉彰彦氏のレポートです、
(昨年、アメリカ大統領選挙の状況が毎週のように配信されたので楽しめました)

[JMM544Sa]「生ぬるい地方分権論議」from911/USAレポート
2009年8月15日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
JMM [Japan Mail Media] No.544 Saturday Edition
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://ryumurakami.jmm.co.jp/


422回 「生ぬるい地方分権論議」 

 各州に刑法もあれば民法もあり、その上に憲法もあるのがアメリカの地方自治です。
その結果として各州の独立採算があり、それは州の下の郡、市町村に至るまで徹底し
ています。仮に財政破綻ともなれば、その自治体を誰も助けてくれません。公教育は
市町村レベルの教育委員会が責任を持っており、そのコストは基本的にほぼ100%
が市町村税で賄われます。こうした地方自治を支えているのが、政治による意志決定
システムで、大きな政府論の民主党イデオロギーと、小さな政府論の共和党イデオロ
ギーが、市町村のレベルに至るまで決定の軸になっています。

 更に国の成り立ちと発展過程のおかげで、アメリカでは一極集中が回避されていま
す。政治の中心はワシントンDCですが、株と国際金融はニューヨーク、商品や債券
の市場はシカゴ、ハイテクは西海岸のシリコンバレーや東のボストン地区、ジャーナ
リズムはNYでもエンターテインメントはLAと、様々な産業が全米に分散しています。


 歴史的経緯もそうです。まず各植民地があり、その植民地連合が英国の徴税権と
闘って勝利し、その後に賛否両論がせめぎ合う中で中央政府が設置されたという独立
のプロセス、地方自治の理念はここから来ています。州の中には、政治的な立場を分
かったために分裂したとか(バージニア、ウェストバージニア)、弾圧された宗教が
たどり着いた安住の地がやがて州になったとか(ユタ)、一旦は独立国としてメキシ
コの支配を脱して後に合衆国に加盟したとか(テキサス)、とにかく「地方の独立」
という理念が様々な形で記憶されているのです。勿論、連邦からの集団離脱と復帰
(南北戦争)という負の歴史もそこには含まれます。

 そんなアメリカから見ていますと、まずもって日本の一極集中現象は異様に見えま
すし、これを解消しようという地方分権論議も、生ぬるくて全く実感に乏しく感じら
れます。まずもって、地方分権をして予算と権限を奪い取るのは「地方自身が主体と
なって産業振興を進める」ためだと思うのですが、その産業振興の方針が見えてこな
いのです。また予算と権限を奪い取るといっても、全国法の制定を中央政党に「お願
いする」という姿勢から何が出てくるのでしょうか?

 そもそも徴税権というのは闘って奪うものだと思うのです。例えば「ふるさと納税」
という制度があります。ですが、地方が育てた人材がどんどん都市に流出して教育コ
ストが回収できないとか、労働人口が減って税収が減り引退した世代への公共サービ
スのコストが負担できないとして、その財源を都市に住む地方出身者の支払い能力か
ら引っぱってくるとしたら、それは制度的な強制力を持つべきだと思うのです。地方
が中央の法律を離脱して、出身者への強制徴税権を行使するとか、地方出身者の都市
における地方税のうち高齢者を支えるコストの部分は強制的に地方に吐き出させると
か、徹底的に闘って税収を奪い取る気概がなくてはダメだと思うのです。
省略


以上は全くのホラ話に近いアイディアですし、こうした構想を描くこと自体、「中
央から」の目線が入ってしまっているのも事実です。ですが、仮に地方から「中央へ
の反旗」をひるがえすとしても、こうした大胆な「事業計画」がなくては、単に予算
をヨコに動かし、組織や州境をいじるだけの形式的なものに終わる可能性があると思
います。とにかく、どんな産業を柱にするのか、そのためには世界のどこと関係を強
化するのか、どんな人材を育てればいいのかということがなくては、自立した地方と
いうのはかけ声に終わってしまうでしょう。
省略

 いずれにしても、人口維持と持続的な付加価値創出に赤信号がともった現在の日本
を、一刻も早く上昇のサイクルに乗せてゆくには、地方の自立が欠かせないと思いま
す。答が一つではないポストモダンの世界で、更に付加価値を創造してゆくには、価
値観と感性が産業に結びつく繊細さが要求されます。そのためにも、明治以来の中央
集権を一旦は壊して、地域の自立を計る中で日本列島の隅々まで「付加価値創造の精
神」そして「採算性」と「成長」の論理が浸透してゆく、そのプロセスが必要のよう
に思います。思えば、戦国時代の混乱というのも、元寇と南北朝の戦乱に疲弊した列
島が、分権の中でそれぞれに力を蓄えてゆく、再生の時代であったのではないでしょ
うか。戦国に芽生えた地方の自立性が、江戸期の幕藩制度の中でうまく機能したとす
れば、明治以降はその自立性を摩耗してゆく過程だったように思います。その歴史を
ひっくり返すのです。

 いずれにしても、中央政界に付随した議論で道州制とか地方分権などを語っていて
もダメだと思います。個別の市町村が、個別の地域がまず立ち上がって「何をするの
か」「何で食ってゆくとするのか」を鮮明にしつつ、中央集権から離脱してゆく、そ
うしたエネルギーがないのであれば、議論のための議論に終わるに違いありません。

冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)

作家。ニュージャージー州在住。1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大
学大学院(修士)卒。著書に『9・11 あの日からアメリカ人の心はどう変わった
か』『「関係の空気」「場の空気」』『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』など
がある。最新刊『アメリカモデルの終焉』(東洋経済新報社)
( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532536/jmm05-22 )

半分以上省略して張り付けました
全文は「JMM」で


http://sankei.jp.msn.com/world/america/090125/amr0901251301003-n1.htm

1. 【グローバルインタビュー】カリフォルニア州が破綻する ...
米国の地方財政の危機が深刻化している。カリフォルニア州ではシュワルツェネッガー知事が非常事態を宣言し、このままでは2月中に州の金庫がからっぽになってしまうと警.
sankei.jp.msn.com/.../amr0901251301003-n1.htm -


少し前にカリフォルニア州が超緊縮予算案を発表したニュースがあったはずです

島崎義治 さんのコメント...

コメントありがとうございます。

名古屋デザイン博は長谷川逸子さんなど何人かの建築家が出品していたのでその部分だけ覚えています。

国際的な文化イベントやトリエンナーレが企画されているようです。

福岡に行くことがあるのですが、福岡、いえ博多は独特の雰囲気やデザインを持った都市です。頼もしいです。

名古屋もどこにも同じモダンなものではなく、もっと土着的な文化をきちんと考えるべきですね。東京や京都にない面白いものがあるのではないでしょうか。

地域に貢献するコミュニティシンクタンクを考えています。ぜひ、お力添えいただければありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

島崎義治 さんのコメント...

JMM記事ありがとうございます。

個別の市町村が、個別の地域がまず立ち上がって「何をするのか」「何で食ってゆくとするのか」を鮮明にしつつ、中央集権から離脱してゆく、

そういうセンスは多くの地方行政マンにはないように感じます。

市民の側からの新しいセンスが必要ですね。市民による市民のための独立宣言です!。。。。