2007年6月11日

本物の図書館

先週土曜日は関係する行事がいくつか重なっていました。その一つがおかざき図書館倶楽部の例会。
例会報告を見ると、そこでは僕のブログの言葉を紹介していただいていたようです。

>「市民一人一人を見据え」は大切なこと。「市民活動を支援しながら、市民と行政を繋ぐ」も大事なことだと思います。それを踏まえたうえで、倶楽部として何をしたら良いのか。

しかし、この「市民一人ひとり」という言葉は倶楽部の人たちと視察に行き、その場で講演をお願いした滋賀県東近江市能登川図書館の館長であった才津原氏の言葉です。中央の大きな図書館よりも中学校区の歩いてゆける図書館とそのネットワークを基本と考え、一人ひとり、すべての市民と向き合うことで、そこからつながりをひきだし、図書館で何でもやってしまう館長です。一つのレファレンスからも大きな書物の世界を広げることができます。そして、その分野の専門家とつながることにより、実際の世界に触れる展示会や講演会がいつも行われ、それがまた次のつながりを生み出しているようです。彼の図書館は「魂の図書館」と呼ばれています。図書館とは書籍の収蔵場所であり、そしてそれに触れる場所でありながら、それを超える人と人が書物の世界を通じて触れ合う場所なのです。また、図書館長という役職もその世界を構築するプロデューサーとしての能力が必要とされるのです。

日本にはこのような本物の図書館は5%だけで、その他は単なる本を貸し出すだけの貸本屋のような図書館や「図書館」という看板を掲げた役所のような図書館に溢れていると、図書館研究家である菅原峻氏は提言しています。

このことがわかっていない行政は非常に多い。適当に図書館長を決め、ひどい場合には開館年度まで決めない行政すらあるのです。そして、指定管理者導入などという、主に出版流通や販売にかかわる組織に図書館運営をまる投げしてしまう暴挙が広がり始めました。これは市民参加や民営協働化とはまったく異なる由々しき状況なのです。

こうした状況のなかでおかざき図書館倶楽部は悪戦苦闘しています。


滋賀県の図書館組織は東京日野市図書館で活躍された前川氏が20数年前に赴任されて以来、すばらしい図書館行政が行われています。東近江市では能登川図書館の他にも永源寺図書館(巽氏)、湖東図書館(澤谷氏)、八日市図書館(3月で退官された巽氏)、東近江市に隣接する愛荘町(旧愛知川町)図書館(渡辺氏)とそうそうたる館長が揃っています。
近年、こうしたすばらしい先駆的な館長に接することや東京では建築家の藤原氏を中心とした図書館建築研究会での、図書館施設研究所の菅原氏、西川氏などとの交流から、そして、「静岡市の図書館をよくする会」の代表草谷氏などから本物の図書館とは何かを学んでいます。

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