2007年6月15日

市民の石垣

昨日は4年生のゼミの第二課題の舞台となる本宿小学校へ行ってきました。とはいえ、人間環境大学のお隣ですが、昨年よりゼミ生が本宿小学校改築計画に取り組み、年末の小学校の作品展にその作品を展示させていただくようになりました。今年も優秀作品を派遣することになりそうです。 見学の前に校長の太田先生からお話を伺いましたが、現在の状況だけではなく、 いろいろと話してくださいました。

岡崎では小学校区がまちづくりの基本とのことです。中学校区は併合等があるけれど、小学校は各地区の中心として考えられてきたそうです。 そう言えば、今、僕がまちづくりに向けた講演会の依頼を受けている地域は額田町(近年岡崎市と合併)の下山学区といい、ここでも小学校区がまちの基本単位であることがわかります。

本宿小学校は前の道路から3m程度上がったところが敷地です。野積みのようにやわらかく積みあげられていますが、この石垣はかつて、校地の整備のために、市民が一つひとつ石を持ち寄り、積みあげたのだそうです。皆でつくり、また地域にも開放され、まち全体で育ててきた小学校と言えます。まちの基本です。
しかし、その小学校も防犯上のため市から指導を受け、昨年より、閉鎖的に運営せざるをえなくなったようです。

コミュニティシンクタンクの拠点はどこかと考える時、もちろんネット上のコミュニティも重要ですが、学校や図書館を拠点としたコミュニティが当然考えられるべきです。かつて、地域に根ざして設計活動を行っていた「象設計集団」は小学校をその拠点とし、越後妻有で行われている大地の芸術祭(アートトリエンナーレ)でも地元の小学校がボランティアメンバーの活動拠点となっています。また、京都マンガミュージアムは都心の小学校を改修したものです。多くの人を包み込む空間と人の記憶を呼び起こす場。まちづくりにはそのような拠点が必要なのではないでしょうか。

しかし、今、多くの図書館だけでなく、学校も閉じられてゆくようです。

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